畑を耕す人なら知っている。良い土は、特定の一種類の微生物だけでできているのではない。多種多様な微生物が共存してこそ、作物は病気に強く、よく育つ。実は私たちの腸でも同じことが言える——というのが、今回取り上げる人気動画の核心だ。
紹介するのは、再生数215万回を超えるThe Diary Of A CEOとZOEの対談動画『The Microbiome Doctor: Doctors Were Wrong! The 3 Foods You Should Eat For Perfect Gut Health!』。登場するのは、世界で最も引用される科学者100人に数えられるティム・スペクター教授だ。動画が実際に語っている内容に忠実に、腸活メディアの視点でQ&A形式に整理してみる。
TL;DR
- 動画は、腸と脳のつながりが心身の健康に極めて重要で、食べ物の選び方で大きく変えられると述べている。
- スペクター教授は「腸の健康のための8つのルール」を持つとし、最初に挙げるのが「タンパク質を見直す(pivot your protein)」。
- 「カロリーより質」を重視し、カロリー制限食は大半の人で機能しないと述べている。
- 重要な食習慣として「週に30種類の植物を食べる」「発酵食品を1日3回摂る」を挙げる。
- 発酵食品については、スタンフォードの研究で血中の炎症レベルが下がったとされ、科学的根拠が強まってきたと紹介している。
Q. 腸と脳のつながりについて、動画は何と述べている?
動画の冒頭、スペクター教授は腸と脳のリンクが「絶対に重要」だと語る。それがうつ、気分の変化、疲労やエネルギーといった脳の働きに影響すると述べている。
そして「この40年間、私たちは間違った道を歩んできた」と指摘する。脳を体の他の部分とまったく別物として扱うことに気を取られすぎてきた、というのが教授の見立てだ。動画では「正しい食べ物を選ぶだけで、生活と健康を劇的に改善できる」と語られている。これはあくまで教授の見解であり、健康効果を断定するものではない点には注意したい。
Q. 「腸の健康のための8つのルール」とは?
動画でスペクター教授は、すべての健康に通じる「腸の健康のための8つのルール」を持っていると述べている。動画の中で具体的に触れられたものを拾うと、次のような考え方だ。
- タンパク質を見直す(pivot your protein)——8つのうち最初に挙げられたルール。
- カロリーより質——食べ物をカロリーで評価する考え方そのものが間違っている、と述べている。カロリー制限食は大半の人で機能せず、むしろ空腹のシグナルが強まり、その空腹が肥満の主な原動力になるという。
- 週に30種類の植物を食べる(eat 30 plants)——「daily 30」という形で日々取り入れるのが簡単でおいしい方法だと紹介している。
- 発酵食品を1日3回摂る——次の問いで詳しく見る。
土づくりに置き換えるとわかりやすい。単一の作物を作り続けた畑は土の微生物が痩せていく。逆に多様な植物を育てれば土の微生物も豊かになる。教授が「週30種類の植物」を勧めるのも、腸内の微生物の多様性を意識した発想と読める。
Q. 発酵食品はなぜ勧められている?
動画で教授は、3つ目に勧める習慣として「発酵食品を1日3回」を挙げる。そして、これを「3年前なら言わなかった」と率直に語る。当時は科学的根拠が十分でなかったからだ。
転機になったとされるのが、スタンフォード大学のグループが行った28人を対象とした研究。1日5回分の発酵食品を約1か月間摂取してもらったところ、食物繊維中心の食事と比べて、血液中の炎症レベルが約1か月で約25%下がったとされる。動画では、毎日血液を採り20種類ほどのタンパク質を調べた質の高い研究で、食べ物と血中の炎症の直接的な関連を初めてしっかり示したものだと紹介している。
ここで強調しておきたいのは、これは「28人」という比較的小規模な研究の紹介だということ。動画も「最初の本当に良い研究」と表現しており、確立した結論というより研究段階の知見として受け止めるのが妥当だ。
Q. そもそも「発酵食品」とは何だと説明している?
動画で教授は、発酵食品を「微生物によってより良いものへと変化させられた食品」と定義している。微生物の働きで味がより複雑においしくなり、長持ちするため冷蔵庫が要らない——だから祖先たちは発酵をしてきた、というわけだ。化学的に変化し、一般により栄養価が高くなるとも述べている。
例として挙げられるのが、牛乳から作るヨーグルトやキムチ。ただし教授は、無脂肪のギリシャヨーグルトのような「ひどく加工されたもの」は勧めていない。それでも良い微生物は残っているとしつつ、平凡な牛乳を発酵で変化させること自体に意味があると語っている。
Q. コーヒーやアーモンド、GLP-1薬についてはどう触れている?
動画では食べ物にまつわるトピックがいくつか飛び出す。
- コーヒー——1日2〜5杯飲むと心臓病のリスクが約25%下がる、という研究が紹介される。
- アーモンド——認知機能や気分に良いとする研究が多くある、と述べられている。
- GLP-1薬(いわゆる痩せ薬)——公衆衛生の観点では医療を一変させるとし、もっと真剣に受け止めるべきだとしつつ、教授は2つの懸念を持っているとも語っている。
これらはいずれも動画内での研究紹介や個人的見解だ。効果には個人差があり、すべての人に当てはまるわけではない。薬の使用については必ず医師の判断を仰いでほしい。
ひとこと(畑の視点で)
畑をやっていると、「足し算」より「多様化」が効くと痛感する。一つの肥料を大量に入れるより、いろいろな有機物を少しずつ入れ、いろいろな植物を育てたほうが、土は粘り強くなる。スペクター教授の「週30種類の植物」「発酵食品を毎日」というメッセージは、まさに腸という土壌の生態系を耕す発想だと感じた。カロリーという単一の物差しを捨て、多様性という物差しに持ち替える——畑の土づくりと腸活が同じ地平でつながる瞬間だ。
ただし動画の数字(炎症25%減、心臓病リスク25%減など)は、いずれも特定の研究の紹介であり、万人に保証された効果ではない。一つの参考として、自分の食卓の「多様性」を少し増やしてみる、くらいの気持ちで取り入れたい。
元動画
- チャンネル: The Diary Of A CEO and ZOE
- タイトル: The Microbiome Doctor: Doctors Were Wrong! The 3 Foods You Should Eat For Perfect Gut Health!
- URL: https://www.youtube.com/watch?v=w3dTmyZq4Qk
本記事は動画の内容紹介であり、医療上の助言ではありません。気分の落ち込み、消化器の不調、持病や服薬に関する不安がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
よくある質問
- 動画は腸と脳のつながりについて何と述べていますか?
- 動画では、ティム・スペクター教授が、腸と脳のつながりは極めて重要で、うつや気分の変化、疲労やエネルギーなど脳の働きに影響すると述べています。この40年間は脳を体の他の部分と切り離して扱う「誤った道」を歩んできたとも語っています。あくまで動画内の見解であり、気分の落ち込みや体調の不安がある場合は自己判断せず医療機関にご相談ください。
- 発酵食品について動画はどう説明していますか?
- 動画では、発酵食品を1日3回ほど摂ることを勧めています。スタンフォード大学が28人を対象に1日5回分を約1か月与えた研究で、血液中の炎症レベルが約25%下がったとされ、これが転機になったと紹介しています。発酵食品とは微生物によって変化させられた食品で、ヨーグルト、キムチなどが例として挙げられます。これは動画で言及された研究と見解であり、健康効果を保証するものではありません。
- コーヒーやアーモンドについては何と言っていますか?
- 動画では、1日2〜5杯のコーヒーは心臓病のリスクを約25%下げるという研究があると紹介されています。アーモンドについては、認知機能や気分に良いとする研究が多くあると述べられています。いずれも動画内で触れられた研究結果の紹介であり、効果には個人差があり、すべての人に当てはまるとは限りません。持病がある方やカフェインに敏感な方は医療機関にご相談ください。