#Loam Papers
71本の記事
- 🧬 腸内細菌叢は3つの型に分かれる — Arumugam 2011
Nature 2011。複数国の糞便メタゲノムを解析し、ヒトの腸内細菌叢が Bacteroides / Prevotella / Ruminococcus に偏る3つの『エンテロタイプ』に分かれることを提唱。国籍・年齢・BMIでは説明できない、安定した腸の類型概念の出発点となった論文を読み解く。
- 🛡️ 定着抵抗性を1菌で取り戻す研究
Nature 2015、Buffie らの精密マイクロバイオーム再構成。抗菌薬で崩れた腸から特定の1菌(Clostridium scindens)を戻すと、胆汁酸代謝を介してC. difficileの定着抵抗性が回復するという機序を、土壌生態系のアナロジーで読み解く。
- 📄 論文紹介: Chambers 2015 — プロピオン酸を大腸に届け食欲を抑える
Gut誌2015。プロピオン酸を大腸へ標的送達するイヌリン・プロピオン酸エステル(IPE)を用いたヒトRCT。急性投与でPYYとGLP-1が増え摂食量が減り、24週投与で体重増加と内臓脂肪・肝脂肪の蓄積が抑えられたと報告された。
- 🕒 論文紹介: 体内時計と腸内細菌が食事に同期する
Cell Metabolism 2021 レビュー。宿主の体内時計と腸内細菌叢はどちらも日周リズムを持ち、食事の内容とタイミングを介して同期する。クロノニュートリション(時間栄養学)の生物学的基盤を整理した一本。
- 🌈 食の多様性が腸内細菌の多様性を支える
Molecular Metabolism 2016。Heiman & Greenway は、食の単一化が腸内細菌の多様性を痩せさせ、多様な食事こそ豊かな腸内生態系を支えると論じた。土壌の輪作と腸活を重ねてLoam視点で読む。
- 🗺️ ヒトマイクロバイオームの地図 — HMP 2012
Nature 2012、ヒトマイクロバイオームプロジェクト(HMP)の基盤論文。健康な成人242名・全身の部位を網羅した大規模調査が示した『菌種は人ごとに違っても、代謝機能は揃う』という原理を解説する。
- 🍵 論文紹介: プーアル茶テアブラウニンと胆汁酸
Nature Communications 2019。発酵茶プーアルの色素テアブラウニンが腸内細菌のBSH活性を抑え、胆汁酸代謝を介して血中・肝臓のコレステロールを下げる経路を、マウスと少数のヒトで示した研究を解説する。
- 🍇 エラグ酸→ウロリチンを作る菌が判明
J Agric Food Chem 2023。ザクロやベリーのエラグ酸をウロリチンへ変換する腸内細菌を特定。Gordonibacter・Ellagibacter・Enterocloster の『分業リレー』が代謝型(UM-A/UM-B)を決めることを共培養で再現した研究を解説。
- 🦠 FMTの原理と適用を読み解く総説
Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology 2016。Khoruts & Sadowsky による糞便微生物移植(FMT)の作用機序と臨床適用の総説を解説。なぜ「他人の生態系を丸ごと移す」治療が再発性C. difficile感染症に劇的に効くのか、その原理を土壌の生態系修復のアナロジーで読み解く。
- 🛡️ 短鎖脂肪酸が免疫を統御する — Kim 2021
Cell Mol Immunol 2021の総説。腸内細菌が食物繊維を発酵して作る酢酸・プロピオン酸・酪酸が、HDAC阻害とGPRシグナルの二経路でTregを含むリンパ球を文脈依存的に制御する仕組みを俯瞰する。
- 🌾 Prevotellaと大麦繊維で血糖が変わる人
Cell Metabolism 2015。大麦全粒パンで血糖応答が改善する人としない人を分けたのは腸内のPrevotellaの量だった。食物繊維への反応に個人差が出る仕組みを、土壌の菌叢と作物の関係になぞらえてLoam視点で読む。
- 🍶 酒に弱い腸 — 飲酒と腸内細菌(Llopis 2016)
Gut誌2016。重症アルコール性肝炎患者の便を無菌マウスに移植すると、同じ量の酒でも肝障害が重くなった。腸内細菌の個人差が「酒で肝臓を壊しやすいか」を左右しうることを示した研究を、腸漏れと土壌アナロジーで読む。研究段階の知見として射程を明示。
- 🌱 健康な腸内細菌叢とは何か — Lloyd-Price 2016
Genome Medicine 2016の総説。健康な微生物叢を『特定の菌の集合』ではなく、機能の共有・冗長性・撹乱への回復力という生態系の性質で捉え直す。多様性とは何かを科学的に整理した基準的レビュー。
- 🧬 腸内細菌の分子が炎症を抑える — PSA 2008
Nature 2008。Bacteroides fragilis が作る多糖A(PSA)が、IL-10産生T細胞を介して腸の炎症を抑えることを示した論文。単一の細菌分子が宿主の免疫バランスを調律しうることを実証した、共生免疫学の金字塔を有機農家の視点で読む。
- 💊 抗菌薬後の腸はどう戻るか
Nature Microbiology 2018。Palleja らは健康な成人12名に最終手段クラスの抗菌薬3剤を4日間投与し、半年間の腸内細菌叢の崩壊と回復を追跡した。腸内細菌叢は約1.5ヶ月で近似的に回復する一方、9種は180日後も多くで検出されず、耐性遺伝子(レジストーム)が回復過程を左右したと報告する。
- 🛡️ 腸の粘液層は誰が守るのか — Paone & Cani 2020
Gut 2020の総説。腸を覆うムチン粘液層は腸内細菌との「ぬるぬるした共生」で維持される。繊維と細菌、ムチン産生、Akkermansiaの両義性まで、粘液バリアの維持機構を体系的に整理した高被引用レビューを解説する。
- 🦠 抗炎症菌F. prausnitzii — Sokol 2008
PNAS 2008。クローン病患者の腸内細菌解析から、主要な酪酸産生菌 Faecalibacterium prausnitzii が抗炎症作用を持つことを示した古典的論文。分泌代謝物がNF-κBを抑え、マウス大腸炎を和らげた経緯を科学的根拠ベースで解説する。
- 🌾 産業化が腸内細菌を痩せさせた — Sonnenburg 2019
産業化社会の腸内細菌叢は、伝統的な暮らしを続ける人々や産業化以前のヒトに比べて多様性が低く、特定の菌系統が消えている。その差を生んだ要因と健康への含意を論じた Nature Reviews Microbiology 2019 のレビューを、有機農家の視点で読み解く。
- 📄 論文紹介: Aravind et al. 2021 — ポリフェノールは腸内細菌と相互作用する
Food Research International 2021。食事由来ポリフェノールが腸内細菌叢・代謝物・宿主健康に及ぼす影響を総説。プレバイオティクス的な側面と、腸内細菌による代謝変換の双方向を整理した。
- 📄 論文紹介: Asnicar et al. 2021 — PREDICT 1 が描く腸内細菌と代謝健康の個人差
Nature Medicine 2021。PREDICT 1 試験(英米 1,098 人、メタゲノム × 詳細な食事 × 食後代謝応答)により、腸内細菌組成が個人の食後血糖・脂質応答と強く関連し、健康的/非健康的な食事指標の菌マーカーを同定した研究。
- 📄 論文紹介: Brial et al. 2018 — 心血管・代謝疾患をポストバイオで読み解く
Cellular and Molecular Life Sciences 2018。腸内細菌が作る代謝物(SCFA、TMAO、二次胆汁酸、インドール誘導体など)が、心血管疾患・2型糖尿病・肥満とどう関わるかを整理した総説。『ポストバイオティクス』という概念を臨床的な文脈で扱った初期の重要レビュー。
- 📄 論文紹介: De Filippis et al. 2016 — 地中海食がSCFAと腸内細菌叢を変える
Gut 2016。イタリア人153人の食事・腸内細菌叢・代謝物を同時測定。地中海食への高アドヒアランスは、糞便SCFAの増加と植物性食品を好む菌(Prevotella など)の優位と関連した。
- 📄 論文紹介: Di Giosia et al. 2022 — 栄養と『炎症加齢(inflammaging)』
Ageing Research Reviews 2022。加齢に伴う慢性低グレード炎症『inflammaging』の機序、栄養パターン(地中海食・カロリー制限・断食・ポリフェノール)による介入可能性を俯瞰したレビュー。
- 💬 対談:腸は数日で応答する — David 2014 を読み解く
David et al. 2014 Nature を土壌の視点から対話で読む。完全動物性食・完全植物性食の切替えで、腸内細菌叢は1日で応答を始め、数日で別の機能プロファイルに遷移する。可塑性の希望と危うさを両面から整理する。
- 💬 対談:繊維が足りないと菌は粘液を食べ始める — Desai 2016 を読み解く
Desai et al. 2016 Cell を土壌の視点から対話で読む。繊維欠乏下で腸内細菌はムチンを分解し、粘液層が物理的に薄くなる。粘液層は土壌の腐植層に相当する、という類推の根拠を整理する。
- 💬 対談:世代を越えて失われる腸内多様性 — Sonnenburg 2016 を読み解く
Sonnenburg et al. 2016 Nature を土壌の視点から対話で読む。MACs(腸内細菌が利用できる炭水化物)を欠いた食事は、1世代で菌を脱落させ、4世代続けると不可逆な絶滅を生む可能性がある。
- 📄 論文紹介: Escudero-Bautista et al. 2024 — 腸内細菌と加齢・フレイルのレビュー
Geriatrics 2024。加齢に伴う腸内細菌の変化、フレイル・サルコペニア・認知機能低下との関連、介入可能性(食事・プロバイオティクス・運動)を整理した高齢者領域のレビュー。
- 📄 論文紹介: Faggiani et al. 2025 — IBD における食事の役割・包括レビュー
Best Pract Res Clin Gastroenterol 2025。クローン病・潰瘍性大腸炎における食事因子の病因関与、活動期の食事管理、寛解維持のための食事戦略を網羅的に整理したレビュー。
- 📄 論文紹介: Ghosh et al. 2020 — 1年の地中海食介入で高齢者の『虚弱』と腸内細菌が同時に改善(NU-AGE 試験)
Gut 2020。欧州5ヶ国612人の65歳以上を対象にした NU-AGE 試験。1年間の地中海食介入で、虚弱(フレイル)・認知機能の改善と、炎症マーカー(CRP・IL-17)の低下に一致する腸内細菌の変化が確認された。虚弱関連菌はネットワーク周縁、食事で増える菌はキーストーン位置を占めた。免疫老化と腸内細菌をつなぐ大規模介入研究。
- 📄 論文紹介: Gómez-Pérez et al. 2023 — 地中海食で脂肪肝の指標と腸内細菌が同時に動く(PREDIMED-Plus サブ解析)
Gut Microbes 2023。スペインの大規模地中海食介入試験 PREDIMED-Plus の297人サブ解析。1年間の地中海食+運動介入で肝脂肪化スコア(HSI)と線維化スコア(FIB-4)が改善した群では、Akkermansia を含む腸内細菌の構成変化が同時に観察された。非アルコール性脂肪肝(NAFLD)と腸内細菌のつながりを、ヒトの介入研究で示した一本。
- 📄 論文紹介: Han et al. 2023 — 糞便移植で解き明かす、4つのポリフェノールが大腸炎を抑える別々のルート
Cell Death & Disease 2023。マウスDSS 大腸炎モデルで、クロロゲン酸・フェルラ酸・カフェ酸・エラグ酸の4つのフェノール酸を比較。マクロファージ欠損や腸内細菌除去、糞便微生物移植(FMT)を組み合わせ、各ポリフェノールが別々の経路(マクロファージ・好中球・微生物代謝物)で炎症を抑えることを示した。エラグ酸はウロリチンA を介し IL-22 依存的にバリア機能を強化。
- 📄 論文紹介: Jardon et al. 2024 — ポリフェノール介入の効き方は男女で違う、Akkermansia は女性で豊富
Gut Microbes 2024。過体重・肥満の男女37人に EGCG(緑茶)+レスベラトロール(ブドウ)を12週間投与。腸内細菌組成の男女差が大きく、Akkermansia は女性でより豊富。ベースラインの腸内細菌プロファイルから、介入による代謝改善を予測できたのは男性のみ。精密栄養学の観点で重要な RCT。
- 📄 論文紹介: Leeuwendaal et al. 2022 — 発酵食品・健康・腸内細菌叢の総整理
Nutrients 2022。発酵食品が腸内細菌叢とどう相互作用するかを、発酵タイプ別・食品マトリクス別・生菌と非生菌成分別に整理した総説。『発酵食品は人類の食の1万年の伝統』という視点から、現代のメタゲノム研究までをつなげた一本。
- 📄 論文紹介: Leonard et al. 2021 — ヒドロキシケイ皮酸と腸内細菌の相互作用
Compr Rev Food Sci Food Saf 2021 レビュー。コーヒー・全粒・果実に多いヒドロキシケイ皮酸類(クロロゲン酸・フェルラ酸・カフェ酸等)が腸内細菌によって代謝され、逆に腸内細菌組成を修飾する双方向作用をまとめた。
- 📄 論文紹介: Li et al. 2022 — 発酵食品と心代謝健康の整理
Frontiers in Nutrition 2022。発酵食品の定義の整理に始まり、心血管疾患・2型糖尿病・メタボリックシンドロームとの関連を、疫学研究とメカニズムの両面からレビュー。『発酵食品は心代謝に良いか』の現時点の答えを、欧州研究者視点で整理。
- 📄 論文紹介: Li et al. 2024 — 難消化性デンプンが腸内細菌を変え体重減少を助ける
Nature Metabolism 2024。過体重・肥満37人を対象にしたクロスオーバーRCT。難消化性デンプン(RS)を8週間補充すると、平均2.8kgの体重減少とインスリン感受性改善が見られ、Bifidobacterium adolescentis の増加と関連した。
- 📄 論文紹介: Longo et al. 2023 — 迷走神経が腸内細菌と肥満・糖尿病をつなぐ
Acta Diabetologica 2023 レビュー。肥満と2型糖尿病が合併した『ダイアベシティ』の病態を、微生物-腸-脳軸(MGBA)の視点から整理。迷走神経と GLP-1 が食欲制御の鍵で、腸内細菌が神経系・内分泌系・免疫系を介して食行動と代謝をコントロールする経路を包括的に解説。
- 📄 論文紹介: Luca et al. 2020 — ポリフェノールの『低バイオアベイラビリティ × 高バイオアクティビティ』パラドックス
Crit Rev Food Sci Nutr 2020。レスベラトロール・クルクミン・ケルセチン・ゲニステイン・エラグ酸等の主要ポリフェノールの薬物動態と、微生物由来代謝物(ユロリチン・エクオール等)の生物活性を整理した総説。
- 📄 論文紹介: Makarewicz et al. 2021 — ポリフェノールと腸内細菌の双方向相互作用
Antioxidants 2021 レビュー。ポリフェノールが腸内細菌をどう変えるか、腸内細菌がポリフェノールをどう変えるか、その双方向性を整理した総説。『ポリフェノールは効く』の前に、『菌が代謝して初めて効く』という視点を提供する一本。
- 📄 論文紹介: Messaoudene et al. 2022 — ベリー由来ポリフェノールが抗PD-1抵抗性を回避する
Cancer Discovery 2022。カムカムベリー由来のポリフェノール『カスタラギン』が、腸内細菌を介して抗PD-1免疫チェックポイント阻害剤への応答性を高めた。Ruminococcus bromii への直接結合という新規機構を示唆。
- 📄 論文紹介: Miyamoto et al. 2024 — 腸内細菌由来の胆汁酸ポストバイオが肝臓を守る
Nature 2024。肝臓の門脈周囲に住む免疫抑制型マクロファージ(Marco+)は、腸内細菌 Odoribacteraceae が作る二次胆汁酸(イソアロリトコール酸)で誘導される。このシステムが壊れると PSC や NASH のような肝炎症性疾患が悪化する。腸菌代謝物が肝免疫を制御する『ポストバイオティクス』の鮮やかな事例。
- 📄 論文紹介: Nagpal et al. 2019 — 腸内細菌 × 地中海食と宿主健康
F1000Research 2019。地中海食と腸内細菌の相互作用が心血管疾患・大腸がん・神経変性疾患のリスク低下にどう関わるかを、最新の機構研究と疫学から整理したレビュー。
- 📄 論文紹介: Pluta et al. 2020 — クルクミンの『バイオアベイラビリティのパラドックス』と腸-脳軸
International Journal of Molecular Sciences 2020 レビュー。ウコンのクルクミンは吸収率が極めて低いのに、神経保護・抗炎症など広範な効果が報告される矛盾を、腸内細菌による代謝物生成と腸-脳軸の観点から整理。クルクミンが腸内細菌を整え、腸内細菌がクルクミンから活性代謝物を作る、という双方向の相互作用を提示。
- 📄 論文紹介: Portincasa et al. 2022 — SCFAとグルコース代謝
International Journal of Molecular Sciences 2022。腸内細菌が食物繊維を発酵して作る短鎖脂肪酸(SCFA)と、インスリン抵抗性・肥満・2型糖尿病との関連を整理した総説。食事→微生物→代謝の鎖をLoam視点で読む。
- 📄 論文紹介: Rana et al. 2022 — ポリフェノールの健康便益は『腸内細菌との双方向対話』で説明される
Journal of Food Biochemistry 2022 レビュー。フラボノイド・リグナン・スチルベン・フェノール酸の4大ポリフェノール群を、抗酸化・抗炎症・心血管保護・糖代謝・免疫制御の観点で整理。効果の鍵は腸内細菌との双方向関係:ポリフェノールが細菌を整え、細菌がポリフェノールを活性代謝物に変える。免疫制御と腸内細菌の接点を食事成分から読む入門レビュー。
- 📄 論文紹介: Reznikov & Suskind 2023 — IBD の栄養療法を俯瞰する
Nutrients 2023 レビュー。炎症性腸疾患(IBD)における現在の栄養療法(EEN・CDED・SCD・地中海食・IBD-AID 等)を比較し、寛解維持と長期持続可能性の観点から整理したレビュー。
- 📄 キヌレニンと腸内細菌 — トリプトファン代謝が脳・気分に与える影響(Ribeiro 2022 解説)
腸内細菌は食事から摂ったトリプトファンを、気分を整えるセロトニン経路と神経炎症に関わるキヌレニン経路へ振り分ける。Ribeiro 2022 総説をもとに、腸-脳軸でこの代謝バランスがどう調節され、地中海食や発酵食品がうつ症状・免疫機能にどう寄与しうるかを臨床栄養の視点で解説。
- 📄 論文紹介: Rinott et al. 2021 — 自分の「やせ期の便」を凍結保存して体重リバウンドを抑える(DIRECT-PLUS 試験)
Gastroenterology 2021。イスラエル DIRECT-PLUS 試験の付帯研究。減量後にリバウンドが起きやすい時期に、自分の「やせ期」の糞便を凍結カプセル化して飲み直す自己糞便移植(aFMT)を実施。高ポリフェノールの緑地中海食群でのみ、体重リバウンドとインスリン再上昇が有意に抑制された。食事と FMT の相乗効果を示した画期的な RCT。
- 📄 論文紹介: Rodríguez-Daza et al. 2021 — ポリフェノールは『duplibiotic』として腸を整える
Frontiers in Nutrition 2021。ポリフェノールが腸内細菌に対して抗菌作用とプレバイオティクス作用を同時に持つことを提案。著者らは『duplibiotic』という新しい用語でこの二重機能を定義した。
- 📄 論文紹介: Ross et al. 2024 — 食事と腸内細菌の相互作用・包括レビュー
Nat Rev Microbiol 2024。地理・食文化・食事パターン(地中海食、高繊維、植物性、高タンパク、ケトジェニック、西洋食)が腸内細菌の組成・機能・多様性をどう動かすかを総説。
- 📄 論文紹介: Selma et al. 2009 — フェノール化合物と腸内細菌の双方向相互作用
J Agric Food Chem 2009。食品フェノール化合物が腸内細菌によって代謝される経路(脱グリコシル化・脱メチル化・脱ヒドロキシ化)と、逆にフェノールが腸内細菌組成を選択的に修飾する双方向相互作用を整理した古典的レビュー。
- 📄 論文紹介: Silva et al. 2020 — 短鎖脂肪酸が腸と脳をつなぐ
Frontiers in Endocrinology 2020。腸内細菌が食物繊維を発酵して作る短鎖脂肪酸(SCFA)が、神経・免疫・内分泌の多経路を介して脳と双方向に通信するという総説。Loam読者向けに要点を整理する。
- 📄 論文紹介: Torres-Fuentes et al. 2025 — ポリフェノール × 腸内細菌 × 体内時計が脳を守る
Critical Reviews in Food Science and Nutrition 2025 レビュー(共著者に Cryan)。ポリフェノールは吸収率が低くても腸内細菌が代謝して神経保護物質を作る。さらに腸内細菌には日周リズムがあり、ポリフェノール代謝にも時間依存性がある。食事タイミング・腸内細菌・ポリフェノール・脳の4者関係を統合した最新レビュー。
- 📄 論文紹介: Tosti et al. 2018 — 地中海食の代謝・分子機序
J Gerontol A 2018。地中海食が心血管疾患・2型糖尿病・がん・不整脈の予防に寄与する代謝・分子機序を、脂質改善・抗酸化・炎症抑制・栄養感知経路・腸内細菌の5つの軸で整理したレビュー。
- 📄 論文紹介: Vaiserman et al. 2017 — 腸内細菌は『老化する』、そして介入可能な標的である
Ageing Research Reviews 2017。加齢にともない腸内細菌の多様性は低下し、免疫老化・慢性炎症(inflammaging)と絡み合って老化を進めることが示唆されている。プロバイオティクス・プレバイオティクス・糞便移植で、この流れに介入できる可能性を整理した総説。
- 📄 論文紹介: Wang et al. 2021 — 地中海食の心代謝保護を腸内細菌が媒介する
Nature Medicine 2021。ナース健康調査 II の 307 人で、地中海食遵守と心代謝リスクの関連が腸内細菌組成で修飾されることを示した。P. copri が少ない人で、地中海食の保護効果がより強く観察された。
- 📄 論文紹介: Wastyk et al. 2021 — 発酵食品食は菌多様性を上げ炎症を下げる
Cell 2021。スタンフォードのランダム化比較試験。健常成人を高繊維食群と高発酵食品食群に分け17週間介入。発酵食品群では腸内細菌の多様性が有意に上昇し、炎症マーカーが低下した。『発酵食品をしっかり食べる』ことの実証的な根拠を示した決定的論文。
- 📄 論文紹介: Wong & Yu 2019 — 大腸がんにおける腸内細菌の作用機序
Nat Rev Gastroenterol Hepatol 2019。大腸がんの発症・進展において腸内細菌が関与する機序を『ドライバー菌』『パッセンジャー菌』仮説で整理し、臨床応用への道筋を示したレビュー。
- 📄 論文紹介: Wong & Yu 2023 — 大腸がんの発症・進展・治療における腸内細菌
Nat Rev Clin Oncol 2023。大腸がん(CRC)の発症・進展・治療応答における腸内細菌の役割を、発がん機序・バイオマーカー・治療抵抗性・免疫療法応答の観点から総説。
- 📄 論文紹介: Wu et al. 2021 — 緑茶EGCGが腸内細菌とSCFAを介して大腸炎を軽減
Microbiome 2021。マウス大腸炎モデルで、経口 EGCG(緑茶カテキン)が腸内細菌叢を変え、Akkermansia と SCFA 産生菌を増やして炎症を緩和した。糞便移植で効果が移植可能なことも確認。
- 📄 論文紹介: Zhang et al. 2023 — マイクロプラスチックは腸内細菌を経由して肝臓を傷つける
ACS Nano 2023。ポリスチレン・マイクロプラスチック(MPs)を飲み込んだマウスでは、Akkermansia など有益菌が減り、腸→肝軸を介して肝炎と線維化が進んだ。抗生物質投与と糞便移植で、MPsによる肝障害の大部分が腸内細菌を介していることを示した実験を、土壌アナロジーで読む。
- 📄 長期の食習慣が腸内細菌のタイプを決める — Wu et al. 2011(エンテロタイプ論)
Science 2011。98人の食事履歴と腸内細菌を比較。動物性食品中心は Bacteroides 優位、食物繊維中心は Prevotella 優位のエンテロタイプを形成。短期介入では動かない、安定した『腸のタイプ』の存在を示した古典的論文。
- 📄 17株のクロストリジウム属菌が免疫寛容を作る — 本田賢也ら 2013
Nature 2013。ヒト腸内細菌から17株のクロストリジウム属を選抜しマウスに定着させると、制御性T細胞(Treg)が誘導され大腸炎が軽減。日本発の画期的研究。腸内細菌と免疫制御の決定的証拠を示した論文を、有機農家の視点で読む。
- 📄 『週30植物』エビデンスの原典 — American Gut Project (McDonald et al. 2018)
mSystems 2018。1万人以上の市民科学プロジェクト。週に食べる植物の種類数と腸内細菌多様性が最も強く相関した。『週30種の植物』という実践目標の原点となった、オープンサイエンスの金字塔。
- 📄 食物繊維が足りないと、腸内細菌はあなた自身の粘液を食べ始める — Desai et al. 2016
Cell 2016。繊維が枯渇すると、腸内細菌は宿主の腸粘液ムチンを分解し始め、粘液バリアが薄くなり、病原体感受性が上がる。14菌種を定着させたグノトバイオートマウスで、食事繊維→粘液層の因果を直接示した重要論文。
- 📄 低繊維食は世代を超えて腸内細菌を絶滅させる — Sonnenburg et al. 2016
Nature 2016。低繊維食を与えたマウスでは腸内細菌の多様性が失われ、元の食事に戻しても完全には回復しない。4世代続けると絶滅する菌種が出る。腸内生態系の不可逆性を示した決定的論文を、有機農家の視点で読む。
- 📄 食事を変えると、腸の微生物は数日で応答する — David et al. 2014 を読む
Nature 2014。動物性食と植物性食の短期切替えで、人間の腸内細菌叢が 1〜4 日で別の状態に遷移することを示した古典的論文。その意味と限界を、有機農家の視点で読み解く。
- 📄 酪酸が腸のTregを分化させる — 古澤・大野ら 2013
Nature 2013。日本発の金字塔。腸内細菌が食物繊維を発酵して作る短鎖脂肪酸『酪酸』が、ヒストン脱アセチル化阻害を介して制御性T細胞(Treg)の分化を誘導する分子機構を明らかにした論文。
- 📄 人口レベルで見た腸内細菌の決定要因 — Zhernakova et al. 2016 (LifeLines-DEEP)
Science 2016。オランダの大規模コホート1,135人を対象に、食事・薬剤・生活習慣・検査値と腸内細菌組成を広く相関解析。抗生物質・PPIが細菌叢に大きく影響し、繊維と果物・野菜が多様性と正相関することを示した。
- 📄 腸内細菌の『種類の豊かさ』が代謝指標と相関する — Le Chatelier et al. 2013
Nature 2013。292人のメタゲノム解析により、腸内細菌の遺伝子数(=多様性の指標)が低い群で肥満・インスリン抵抗性・慢性炎症が有意に高いことを示した古典的論文。
- 📄 ハッザ族の腸内細菌は季節で入れ替わる|狩猟採集民188人を1年追跡 — Smits 2017
狩猟採集民ハッザ族188人・糞便350サンプルを1年以上追跡した結果、腸内細菌叢は雨季(植物食)と乾季(狩猟肉)で周期的に組成を入れ替えると判明。西洋人でほぼ消えたPrevotellaなどが基盤層として常在していた。Smits 2017(Science)の内容を日本語で解説する。